こんにちは、販売終了.comのひびです。
ふと、あの独特の柔らかい噛み心地が恋しくなってコンビニの棚を探したとき、いつもあるはずの場所にその姿がないことに気づきました。
「あれ? 売り切れかな?」と思って何軒か回ってみても、結果は同じ。
そこにあるのはグミやタブレットばかりで、慣れ親しんだあのパッケージは見当たりません。
そんな経験をして、なんとも言えない寂しさを感じたことはないでしょうか。
今回は、そんな不安を抱えている方も多いであろう、かつての一大ブランドについて徹底的に調査しました。
なぜ店頭から消えてしまったのか、その背景にある市場の構造的な変化や、メーカーが仕掛ける生存戦略。
そして、スライム味などの名作を懐かしみつつ、現在の在庫状況やどこで購入できるのかといった実用的な情報まで。
さらに、ブランドがどのように形を変えて生き残ろうとしているのか、その深層を私自身の体験とリサーチ結果を交えてご紹介します。
単なる「品切れ」では済まされない、お菓子売り場の裏側で起きているドラマを一緒に紐解いていきましょう。
- 店頭から姿を消した物理的な要因と流通の裏側
- 現在も入手可能なフレーバーとすでに生産を終えた製品の区別
- スマホやマスク生活がもたらした決定的な影響
- ブランドのDNAを受け継ぐ新しい製品群の正体
フィッツガムの販売終了の噂と真実

「最近見かけないな」と思って検索窓に商品名を打ち込むと、予測変換に不穏な言葉が並びます。
多くのファンが抱いている「もう買えないのではないか」という不安。
ここでは、なぜこれほどまでに見つけにくくなってしまったのか、その真相について、流通システムや社会背景、そして製品そのものの歴史から多角的に深掘りしていきます。
結論から申し上げますと、「Fit’s」ブランド自体は2025年現在も存続しており、完全に消滅したわけではありません。
しかし、かつてのように数十種類のフレーバーがコンビニの棚を彩っていた時代は終わりを告げました。
現在、私たちが直面しているのは、ブランドの「完全撤退」ではなく、極めて戦略的な「縮小」と「カテゴリー移行」の過渡期なのです。
店頭から姿を消した物理的な要因

「売っていない」という私たちの感覚は、あながち間違っていません。
その最大の理由は、小売店における「棚割り(プラノグラム)」という冷徹なシステムにあります。
コンビニエンスストアやスーパーマーケットの棚は、無限にあるわけではありません。
限られたスペースで最大の利益を生み出すために、POSデータに基づいた熾烈な陣取り合戦が繰り広げられています。
かつてレジ横の一等地を占有していたのは間違いなくガムでしたが、現在はその場所を別の勢力に奪われてしまいました。
コンビニ棚の熾烈な陣取り合戦
近年のトレンドは明らかに「グミ」と「タブレット(錠菓)」です。
これらは新商品が出るたびにSNSで話題になりやすく、回転率が非常に高いため、店側も優先的に棚を割り当てます。
特に駅売店(キヨスク)やコンビニでは、通勤・通学客が「瞬時にリフレッシュできる」商品を求めており、手軽に摂取できるグミやミンティアのようなタブレットが優遇される傾向にあります。
一方で、回転率が低下したソフトガムは、容赦なく「カット(棚落ち)」の対象となります。
実際に店舗を回って見えた現実
メーカーが生産を続けていたとしても、実際の販売現場である店舗のオーナーや店長が「発注しない」と決めれば、私たちの目には触れません。
私が実際に近隣のコンビニを5軒、スーパーを3軒回ってみましたが、ガムコーナー自体が縮小傾向にあり、置いてあるのは「機能性ボトルガム」や「強力ミント系」ばかりでした。
「楽しむためのガム」が入る隙間は、物理的に消滅しつつあるのが現実なのです。
現在の市場における在庫状況の分析

では、具体的にどの商品が生き残っていて、どの商品がもう手に入らないのでしょうか。
ロッテの公式デジタルカタログや主要なECサイトのデータを徹底的に照合し、その生存状況を調査しました。
この調査結果は、ファンにとっては少々残酷な現実を含んでいます。
生産終了が確定した人気フレーバー
まず、ブランドの顔であった多くの主力フレーバーが、すでに「生産終了(Discontinued)」のステータスにあることが確認されました。
例えば、女性層に絶大な人気を誇った「ミックスベリー」や、通勤通学のお供だった「LINK オリジナルミント」。
これらは大手家電量販店系ECサイトのデータベースにおいて、明確に「販売を終了しました」と記載されています。
これは一時的な在庫切れではなく、メーカーが供給をストップしたことを意味し、再入荷の望みは薄いと言わざるを得ません。
また、2021年に発売された「シトラス」や、若年層に支持された「エナジードリンク味」も、市場在庫のみの流通となっている可能性が高く、見かけたら即買いすべき状況です。
生存する最後の砦「グレープミックス」
しかし、絶望するのはまだ早いです。
唯一の希望として、「グレープミックス」だけは現在もロッテ公式サイトのカタログに掲載されており、現役商品として生き残っています。
つまり、ブランドは「完全撤退」ではなく、極極限までラインナップを絞り込んだ「戦略的縮小」のフェーズにあるのです。
この「グレープミックス」は、ブランドの命脈を保つための最後の砦として、細々とではありますが流通を続けています。
セブンイレブン等の商品マスタにも「販売地域:全国」として登録されている例があり、店舗によってはまだ発注が可能であることが示唆されています。
社会的背景とライフスタイルの変化

なぜ、私たちはガムを噛まなくなったのでしょうか。
この問いに対する答えは、日本社会全体の構造変化の中にあります。
特に影響を与えたのが、「スマートフォン」と「マスク」という2つの要素です。
スマホ片手の生活にガムは「ノイズ」
まず、スマートフォンの普及により、私たちの「隙間時間」の使い方が劇的に変わりました。
かつて移動中や待ち時間の口寂しさを紛らわせていたのはガムでしたが、今はその役割をスマホが担っています。
スマホゲームやSNSに没頭しているとき、両手は塞がり、意識は画面に集中しています。
この状況において、ガムという食品は非常に相性が悪いのです。
なぜなら、ガムは「噛み終わった後に紙に包んで捨てる」という能動的なアクションが必要だからです。
この「捨てる」という行為は、スマホ操作の流れを中断させる「ノイズ」となります。
対してグミは、ポイっと口に入れて噛んで飲み込めばそれで完結します。
この「完結の手軽さ」が、現代のライフスタイルに合致したのです。
マスクとテレワークが奪った口臭ケア需要
さらに、コロナ禍によるマスク生活の常態化も追い打ちをかけました。
対面で話す機会が減ったことで口臭ケアの必要性が低下し、さらに外出先でマスクを外してガムを捨てることが「不衛生」「面倒」と感じられるようになりました。
また、テレワークの普及により、オフィスで「眠気覚ましにガムを噛む」という需要も減少しました。
これまでは強力なミントガムがビジネスパーソンの必需品でしたが、自宅作業ではコーヒーなどで代用が可能だからです。
これらの社会的要因が重なり、ガム市場全体がシュリンクしていく中で、特に嗜好性の強いこのブランドは大きな打撃を受けることになったのです。
ブランドの歴史と一世を風靡した栄光

ここで少し、時計の針を戻してみましょう。
2009年、このブランドがデビューした時の衝撃を覚えている方も多いのではないでしょうか。
当時のガム市場は、「キシリトール」に代表される機能性ガムか、「ブラックブラック」のような眠気覚まし系が主流でした。
そんな「真面目でおじさんっぽい」ガムのイメージを根底から覆したのが、この商品の登場でした。
「噛むとフニャン」というあまりにも中毒性の高いジングル。
そして、佐藤健さんや佐々木希さんが踊るユニークなダンス。
テレビCMが流れるたびに釘付けになり、学校や職場での話題を独占していました。
発売からわずか5ヶ月で4,000万個を販売するという、年間400万個でヒットと言われるガム業界の常識を10倍の速度で塗り替える歴史的な大成功を収めました。
それは単なるお菓子ではなく、若者たちのコミュニケーションツールであり、ファッションの一部でもあったのです。
パッケージを半分にちぎって友人とシェアするスタイルも、このブランドが定着させた文化の一つと言えるでしょう。
「ソフトな食感」という新しい価値提案は、硬いガムを敬遠し始めていた若年層のハートをがっちりと掴みました。
あの頃の輝きを知っているからこそ、現在の静かな撤退劇には一抹の寂しさを感じずにはいられません。
伝説のコラボレーションと独自のギミック

ブランドの歴史を語る上で欠かせないのが、数々の挑戦的なフレーバーとコラボレーションです。
中でも、2012年に発売された『ドラゴンクエスト』とのコラボ商品「スライム味」は、今でも語り草になっている伝説の名作です。
私も当時、コンビニで見かけて即座にレジへ持って行った記憶があります。
この商品の凄かった点は、単なる「ライム味(スっぱいライム=スライム)」というダジャレに留まらなかったことです。
ガムの中に特殊な成分を配合し、噛んでいると徐々に中からトロッとしたぬめりが出てきて、まるで本物のスライムを食べているかのような「ぬるぬる」とした食感に変化するギミックが搭載されていました。
正直なところ、美味しいかどうかは賛否両論ありましたが(笑)、その「食感のエンターテインメント性」には度肝を抜かれました。
YouTubeなどの動画サイトでもレビューが相次ぎ、食べるという行為そのものを遊びに変えてしまったのです。
他にも、NiziUや櫻坂46といった人気アイドルとのパッケージコラボや、「スイート小豆バター」「エナジードリンク味」「ラムネ味」といった実験的なフレーバーの投入。
常に私たちを驚かせ、楽しませようとしてくれたその姿勢こそが、このブランドの真骨頂だったように思います。
しかし、あまりに多品種が短期間で入れ替わる展開は、逆に「いつもの味」を定着させることを難しくしてしまった側面もあるかもしれません。
成分配合から見る食感のメカニズム

なぜ、あのような独特の「フニャン」とした食感が出せたのでしょうか。
少しマニアックになりますが、技術的な視点からその秘密を紐解いてみましょう。
製品のパッケージ裏にある原材料名を見てみると、その設計思想が見えてきます。
通常のガムと決定的に異なるのは、糖アルコールの多用と、特殊な軟化剤の配合バランスです。
原材料には「マルチトール」や「エリスリトール」といった成分が並んでいます。
これらは砂糖に比べてカロリーが低く虫歯になりにくいという特徴がありますが、それ以上に「口溶けの良さ」を演出する役割を果たしています。
さらに、植物油脂などの軟化剤を絶妙なバランスで加えることで、噛み始めから抵抗感のない、驚くほどの柔らかさを実現していたのです。
また、興味深いのは「ゼラチン」が含まれている点です。
本来グミの主原料であるゼラチンをガムに配合することで、独特の弾力と滑らかさを生み出していました。
これは、開発当初からガムとグミの中間的な物性、あるいは「噛むスイーツ」としての位置づけを意識していた証左と言えるかもしれません。
しかし、皮肉なことに、この「柔らかすぎる設計」が、現在のハードグミブームにおいては逆風となってしまいました。
ストレス社会と言われる現代において、消費者が求めているのは「癒やしの柔らかさ」よりも、「噛み砕くことによるストレス発散」や「小腹を満たす満腹感」です。
技術の粋を集めて作ったあの繊細な食感が、時代のニーズと少しずつズレていってしまったのかもしれません。
それでも、あの優しさに満ちた噛み心地は、ガムの歴史における一つの到達点であったことは間違いありません。
フィッツガム販売終了後の新たな選択

形あるものはいつか変わっていきます。
しかし、それは「終わり」ではなく、時代に合わせた「進化」と捉えるべきかもしれません。
ここからは、ブランドが選んだ新しい生き方や、私たち消費者がこれからどう向き合っていくべきかについてお話しします。
あのDNAを受け継ぐ新しい商品や、どうしてもあの食感が忘れられない方への具体的な代替案など、明日からのお菓子選びに役立つ情報をまとめました。
ロッテは今、縮小するガム市場と心中することを選ばず、強力なブランド認知度をテコにして、成長するグミ市場への「移住」を敢行しています。
カテゴリーを越境する戦略的転換
「ガムが売れないなら、売れる場所に行けばいい」。
メーカーであるロッテが下した決断は、非常に合理的かつ大胆なものでした。
なんと、ブランドの名前と世界観をそのままに、「ガム」から「グミ」へとカテゴリーを移住させたのです。
これは単なる代替品の投入ではありません。
ブランドのコア価値である「食感へのこだわり」を再定義し、グミという成長市場で再勝負を挑むという高度なマーケティング戦略です。
現在発売されている「Fit’sグミ」シリーズは、パッケージデザインこそお馴染みのロゴを使っていますが、中身は完全に別物です。
2020年から展開されている「ゴツンとふにゃん」シリーズは、まさにその象徴です。
1つのパッケージの中に、ハードな食感の「ゴツン」グミと、ソフトな食感の「ふにゃん」グミを混在させるアソート形式を採用しました。
これにより、現在のトレンドであるハードグミ派も、往年のファンであるソフト食感派も、両方を取り込むことができます。
食べてみると不思議と「あ、これはやっぱりフィッツだ」と感じさせる要素が残っています。
それは、ただ甘いだけのお菓子ではなく、「噛むことの楽しさ」を追求している点です。
縮小する市場と心中するのではなく、ブランドの魂を守るためにあえて形を変える。
この転身劇は、企業の生存戦略として非常に興味深い事例と言えます。
自己否定から生まれた新しいコンセプト

このブランド移行期において、非常にユニークな現象が起きています。
それが「自己否定」とも取れる新商品の投入です。
これまで「フニャン」という柔らかさをアイデンティティにしてきたにもかかわらず、2022年頃から「硬マッチョ」というシリーズを展開し始めました。
キャッチコピーは「ふにゃんではない!?」。
これは明らかに、市場を席巻している「ハードグミ」に対抗するための苦肉の策、あるいは適応策です。
「柔らかいガム」の需要が減退し、「噛み応え」を求めるニーズが高まった結果、ガムにおいても「硬さ」を売りにせざるを得なくなったのでしょう。
また、現在コンビニでよく見かける「BIGグミ」では、粒を大きくし内容量を増やすことで、男性層や若年層の「小腹満たし需要」を狙っています。
かつてのフィッツは低カロリーで女性的でしたが、今のフィッツはよりエネルギッシュで男性的な側面も持っているのです。
「どっちが好きなの?」と消費者に問いかけるようなこのハイブリッド戦略。
それはまるで、柔らかかった過去の自分と、強くなりたい現在の自分が葛藤しているようにも見え、ブランドの迷いや挑戦が透けて見えるようで面白いですね。
インターネット通販での入手方法と注意点

「御託はいいから、昔ながらのあのガムが食べたいんだ!」
そう思われる方もいらっしゃるでしょう。
実店舗での入手は絶望的ですが、インターネット通販の世界にはまだ希望が残されています。
Amazonや楽天市場などのECモールを覗いてみると、まだ在庫を持っているショップがいくつか存在します。
私もどうしても食べたくなった時は、通販での「箱買い(まとめ買い)」を利用しています。
大手ECサイトに残る在庫の実態
ただし、ここにはいくつかの注意点があります。
まず、価格が高騰している場合があります。
生産終了品や限定フレーバーは「プレミア価格」で取引されていることが多く、定価の数倍になっていることも珍しくありません。
購入時の注意点(価格・賞味期限)
また、賞味期限の問題もあります。
ガムは本来賞味期限の表示義務がない食品ですが、風味が落ちている可能性も否定できません。
実際、海外向けの日本菓子販売サイトでは「Sold Out」の文字が並んでおり、世界中のファンが在庫を奪い合っている状況が見て取れます。
流通在庫が尽きれば本当に終わりですので、もし見つけたら迷わず確保しておくのが賢明です。
柔らかい食感を求める方への代替案
通販の在庫もいつかは尽きます。
その時に備えて、今のうちから「ポスト・フィッツ」となる代替品を探しておくのも一つの手です。
あの独特の「柔らかさ」と「味の持続」を求めているなら、以下の選択肢を試してみてください。
一つ目は、自然食品店などで見かける「サンコー ミントガム」です。
これは天然のチクルをベースにしており、人工的な硬さがなく、非常にナチュラルで優しい噛み心地が特徴です。
アゴへの負担が少なく、長時間噛んでいても疲れない点は、往年のフィッツに通じるものがあります。
二つ目は、歯科専用ガムの「POs-Ca F(ポスカ・エフ)」です。
本来は歯の再石灰化を促すための機能性ガムですが、実はその食感は適度な弾力と柔らかさを兼ね備えています。
味もペパーミントやマスカットなどがあり、長持ちするように設計されているため、大人のフィッツユーザーには意外と相性が良いのです。
また、「ふにゃん」とした食感にこだわるならば、あえてガムではなく「マシュマロ」や「ソフトキャンディ(ハイチュウプレミアムなど)」に目を向けてみるのも面白い発見があるかもしれません。
「ガムは硬いもの」という固定観念を捨てて探してみれば、意外なところに理想のパートナーが見つかるかもしれません。
フィッツガム販売終了を経て見えた未来のシナリオ

最後に、このブランドが今後どこへ向かうのか、その未来を予測してみましょう。
調査レポートや市場の動向を見る限り、2つのシナリオが考えられます。
一つは「完全なるグミブランドへの転換」です。
ガム製品の採算ラインを割り込んだ時点で、残る「グレープミックス」なども終売とし、完全に「食感エンターテインメントグミ」のブランドとして生まれ変わる道です。
若年層にとって「Fit’s=グミ」という認識が定着すれば、この移行は完了します。
もう一つは「ハイブリッドブランドとしての存続」です。
グミを主力としつつも、ガムには「集中力持続」や「眠気覚まし」といったグミにはない機能的価値があります。
そのため、ニッチな需要を拾うための受け皿として、細々とガムを残し続ける道です。
現状、ロッテは後者の可能性を模索しつつも、軸足は明らかに前者(グミ)に置いています。
かつてのように、コンビニの棚一面をカラフルなパッケージが埋め尽くす光景は、もう二度と戻らないかもしれません。
しかし、そのDNAは形を変え、パウチに入ったグミとして、あるいは硬いガムとして、現代の消費者のポケットの中に生き続けています。
「フィッツ ガム 販売終了」という言葉の裏には、終わりの悲しみだけではなく、時代に合わせて変化しようとするブランドの力強い意志が隠されていました。
もし店頭でガムが見つからなければ、ぜひ一度、進化したグミの方も手に取ってみてください。
そこには、形は違えど、かつて私たちがワクワクしたあの「遊び心」がきっと詰まっているはずです。

